女性医師による専門外来を開設しました
こちらは骨盤臓器脱、排尿トラブルの症状でお悩みの女性専用専門外来です。
尿もれは身近な病気です。
日本泌尿器学会による報告では40歳以上の女性の約4割が尿もれを経験しているようです。排尿は幼少の時期に最初に身につける社会的なコントロールなので、できなくなることでの心理的ダメージは大きいです。
よくある疾患にもかかわらず、なかなか受診しづらいという患者さまのお声を多くいただいておりました。お困りの方にできるだけ抵抗なく受診していただきたい!との思いで、女性医師による専門外来を開設することになりました。
診療時間
木曜日 14:00〜 完全予約制 (女性医師による女性専門外来となります)
ウロギネコロジーとは
英語でウロ(Urology:泌尿器科)とギネ(Gynecology:産婦人科)を合わせた造語で、泌尿器科と産婦人科の境界領域にある診療領域にある病気を担当する診療科です。欧米では内科や外科と同様に一つの診療科として扱われています。
女性の骨盤底に関するいろいろな疾患を対象にしています。
- 骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤など)
- 尿もれ・頻尿・排尿困難などの排尿トラブル
- 便・ガス漏れなどの肛門機能トラブル
- 下腹痛・膣の違和感(G S M:閉経関連泌尿生殖器症候群) など
これらは悪性疾患ではないので生命を脅かす疾患ではありませんが、毎日悩まされるのでQ O L(日常の生活の質)を下げる疾患です。「恥ずかしい」や「もう年だから・・」と諦めてしまうなど、なかなか相談しにくい症状でもあります。
これらは加齢、妊娠・出産、肥満や更年期のホルモン変化がきっかけになることも多く、またライフスタイルの変化も伴い、若い方でも尿もれなどで人知れずお悩みを抱えている女性も多くいらっしゃいます。
投薬や適切な骨盤底筋運動・生活指導、手術などの治療方法をご提案し、必要と判断しましたら連携高次医療機関へのご紹介も行います。
女性医師が担当いたしますので、お気軽に一度ご相談ください。
対象疾患
ウロギネ外来では、主に以下のような疾患を専門的に診断・治療いたします。
頻尿
原因は膀胱炎・多尿・過活動膀胱・神経因性膀胱・不眠症・浮腫など様々です。それぞれの原因によって治療法が異なりますのでその原因を精査し治療に繋げます。
尿もれ(尿失禁)
主に①切迫性尿失禁、②腹圧性尿失禁、③混合性(切迫性+腹圧性)などがあります。
①切迫性尿失禁
急な尿意が出現しトイレまで我慢できず、間に合わずに漏れる状態を指します。
生活改善や膀胱訓練、服薬を行います。
② 腹圧性尿失禁
咳・くしゃみ、階段の上り下りなどで腹圧がかかる時に生じる尿もれを指します。
出産に伴う骨盤内支持組織の損傷・加齢による筋力低下、肥満による腹圧の上昇などが原因で起こります。
軽度であれば骨盤底筋体操による筋力強化が第一選択となります。正しい運動を継続することが治療の鍵です。
保存療法で不十分の場合は投薬・手術治療を検討します。
③ 混合性尿失禁
①と②が合併した状態です。
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱は、子宮や膀胱などの骨盤内臓器が下垂・脱出する病気です。よく「腟からピンポン玉が出てきた」となどと訴えて受診されます。
脱出する臓器や状態で子宮脱、膀胱瘤、直腸脱などに分類されます。
分類
- 子宮脱・・・子宮が下降し、膣から脱出します
- 膀胱瘤・・・前方の腟壁が弱くなり、膀胱が下降し、膣から脱出します。
- 直腸瘤・・・後方の膣壁が薄くなることで直腸が膣から脱出します。
- 直腸脱・・・直腸の支持組織が弱くなることで、直腸が反転する形で肛門から脱出します。
- 膣断端脱・・・子宮摘出後、膣断端(膣の一番奥の部分)が脱出します。
症状
陰部違和感、擦過による性器出血・頻尿・尿もれ・排尿困難・残便感などが主に挙げられます。
骨盤臓器脱になりやすい方
- 閉経・更年期によって、女性ホルモンの分泌が急激に低下している方
- 肥満傾向の方
- 強くいきむ癖のある方、慢性便秘の方
- 出産(特に多産)によって、膣に負担がかかった方
- 立ち仕事、重い物を運ぶ仕事によって普段から腹圧がかかっている方
- 慢性の咳を伴う呼吸器疾患をお持ちの方
診断ののち、症状の程度とご本人の希望をふまえて治療方針を決定いたします。
よくある質問
年齢を重ねるほど、尿漏れが起こる人は増えてきます。また20代や30代でも尿漏れにお悩みの方は少なくありません。骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁などの病気が隠れているおそれもあるので、当院のウロギネ外来にご相談ください。プライバシーに十分に配慮した、優しい診療を提供いたします。
実は出産適齢期の女性も尿もれで困っています。
妊娠・出産をきっかけに尿もれを経験する女性が多く、妊娠中の約6割、産後の3割の方が尿もれを経験しています。出産回数が多くなるにつれ、症状がひどくなるとも言われています。
妊娠中・産後の尿もれは自然回復することが多いですが、産後3ヶ月を過ぎても尿もれ症状が治らない場合、尿もれが長期化する確率が高いとされます。また、時間が経過するにしたがって治療への反応も悪くなることが多いです。
赤ちゃんのお世話で自分の体はなおざりになりがちですが、早く治療を開始することがおすすめします。
頻尿については、たくさん水分を摂った日に「少し排尿回数が多いな」と感じるものの普段はそうではないという場合には、基本的に心配いりません。しかし、1カ月以上頻尿が続いているという場合、残尿感があるという場合には、受診をおすすめします。
尿漏れについては、頻度が高い場合、社会生活に支障が出ている(恥ずかしい思いをした・外出に不安がある)場合には、受診をおすすめします。
以下、ご注意・ご協力くださいますようお願いします。
・保険証や受給者証、お薬手帳、またお持ちでしたら紹介状などをご持参ください。
・尿検査がありますので、ある程度尿を溜めてお越しになる、または飲み物をお持ちになって排尿を促す等のご協力をお願いします。
・内診がありますので、脱ぎ着しやすい服装でお越しくださいますようお願いします。
・骨盤臓器脱に関するご相談の場合、正確な診断のため、症状が現れている状態での受診が推奨されます。
はい、問題なく受診していただけます。何かご不安な点がございましたら、ご予約や受診の際にお申し出ください。
手術の術式によって異なります。当院では、患者様のお身体の状態に合わせて、適切な麻酔・手術を行います。事前に詳しい説明もございますので、どうぞ安心してご相談ください。