低用量ピルとは?服用で得られる効果
低用量ピルの効果は、大きく以下の2つに分けられます。
月経困難症・月経痛(生理痛)などの症状緩和
子宮内膜の増殖を抑えることで、痛み・炎症の原因となる物質の産生が低下し、月経痛の軽減、月経量の減少といった効果が期待できます。
また、副次的に、貧血の予防にも役立ちます。
高い避妊効果
避妊をしたにもかかわらず1年以内に妊娠する確率は、低用量ピルの場合0.3%に留まります。
コンドームが2%、ミレーナが0.2%ということを考えると、かなり高い避妊効果が得られる方法と言えます。
低用量ピルのメリット・デメリット
メリット
月経周期が安定する
月経周期の安定が期待できます。仕事、旅行などの計画も立てやすくなります。
経血の量が減り、月経痛の改善も
経血量は、平均して約3分の1に減少します。これにより、貧血の予防という効果も期待できます。
ニキビ・肌荒れの改善
ピルの種類によっては、男性ホルモン作用を抑える方向へ働くため、ニキビや肌荒れの改善が期待できます。
子宮に関する病気リスクを低減できる
低用量ピルの長期投与によって、卵巣がん、子宮体がん、直腸がん、リウマチといった病気の発症リスクが低下することが分かっています。
高い避妊効果が得られる
コンドーム以上の高い避妊効果が得られます。コンドームと併用することで、さらにその効果が高くなります。
※性行為感染症の予防のためにも、できる限りコンドームを併用しましょう。
デメリット
副作用が起こる可能性がある
不正出血、吐き気、頭痛、血栓症などの副作用が起こる可能性があります。
服用できない方もいる
35歳以上で1日15本以上の喫煙をする方は、血栓症のリスクが高くなるため、低用量ピルを内服することができません。
決められた日時・量を守らなければ効果が得られない
低用量ピルの効果は、毎日、同じ時間に飲むことで正しく発揮されます。
なお「同じ時間」と言っても、2~3時間のズレであれば、避妊効果が下がることはないとされています。
ピルの副作用・リスク
低用量ピルの副作用のほとんどは、一時的かつ軽微なものです(マイナートラブル)。 以下で、主な副作用をご紹介します。
不正出血
ピルの内服をはじめてすぐ、少量の出血が続くことがあります。ほとんどのケースにおいて、2ヵ月目に入る頃には出血が止まります。
3ヵ月目に入っても不正出血がある場合には、ピルの種類の変更を検討します。
吐き気
ピルの内服をはじめてすぐ、軽い吐き気が生じることがあります。吐き気止めを処方することも可能です。
初めてピルを使用する方は、吐き気が出にくいタイミング(夕食後や就寝前)に内服をすることをおすすめします。
浮腫(むくみ)
足、顔に浮腫みが生じることがあります。通常、日常生活に支障をきたすようなものではありません。
こちらも、服用を続けているうちに落ち着きます。
血栓症
ここまではマイナートラブルをご紹介しましたが、血栓症はとても重大な副作用です。しかし、起こる頻度は非常に稀です。
血管の中で血液が固まると、血栓となって血流を止めてしまいます。ふくらはぎの静脈に発症しやすく、その場合は同部位周辺に腫れ・痛みを伴います。
1日15本以上喫煙する方は血栓のリスクが高く、35歳以上の場合はピルを処方することができません。
当院で取り扱う低用量ピルの種類
低用量ピルには、さまざまな種類があります。患者様のお身体の状態・ご希望に合わせて処方します。
また副作用が強く出る場合には、ピルを変更するといったことも可能です。
ノルエチステロン(第1世代ピル)
初めて製造承認されたのが、ノルエチステロンを使ったピルです。ただ、だからといって副作用が起こりやすい、効果が低いということはありません。
なお、ルナベル(LD/ULD)は月経困難症の治療に対し保険が適用されます。そのジェネリック医薬品がフリウェルです。
- ルナベルLD/ULD
- フリウェルLD/ULD
レボノルゲストレル(第2世代ピル)
トリキュラーやアンジュは、女性の生理的なホルモン分泌に対応させるため、ホルモン量を3段階に調整してある「3相性ピル」で、不正出血が起きにくいという特長があります。
ジェミーナはジェミーナはホルモン量が一定である「1相性ピル」で、「21日間服用+7日間休薬」または「77日間服用+7日間休薬」のスケジュールで使用します。子宮内膜症に伴う痛みや月経困難症に対しては保険適応となります
- トリキュラー28
- アンジュ21
- ジェミーナ
デソゲストレル(第3世代ピル)
マーベロンは、男性ホルモンの作用が弱いので、ニキビや肌荒れを生じることが少ないとされています。そのジェネリック医薬品が、ファボワールになります。
- マーベロン28
- ファボワール28
ドロスピレノン(第4世代ピル)
ヤーズは男性ホルモン作用がほとんどなく利尿作用も少しあるため、浮腫みが起こりにくくニキビを改善する効果もあります。また月経前症候群(PMS)の症状を和らげるともされています。休薬期間が短いため(他のピルが7日であるのに対し4日)、ホルモンの変動が少なく、下腹部痛や頭痛といった副作用を減らすことができます。月経困難症に対して保険適用となります。
ヤーズフレックスは、ヤーズと特長は同じですが、連続内服することにより月経回数を減らすことができます。
- ヤーズ
- ヤーズフレックス
よくあるご質問
ピルの成分であるエストロゲンの保水作用、プロゲステロンの食欲増進作用によって、結果として太るということはあります。服用後1~2カ月ほどは体重の増加に注意した方がいいかもしれません。
ただ、低用量ピルを飲んだことを直接的な原因となることはありません。
通販、海外からの個人輸入で手に入るピルの使用はおすすめしません。中には、有効成分が含まれていないものも存在するためです。 医療機関を受診し、医師の診察を受けることは、既往歴・家族歴・ライフスタイルなどを考慮した上で適切なピルを処方するための大切な工程です。 どうしても医療機関に足を運ぶことが難しい場合には、オンライン診療でピルの処方を受ける方法をおすすめします。
飲み忘れに気づいた時点で、まず「飲み忘れた1錠」を内服します。その上で、普段の服用時間に、「その日に本来飲む1錠」を飲みます。同じ日に2錠を飲むことになりますが、ピルの効果は続いています。 なお、2日続けて飲み忘れてしまった場合には、排卵が再開するおそれがあります。一旦内服を中止し、最初に訪れる出血の1~5日目から再開します。7日続けて内服するまでは、コンドームによる避妊をしてください。 ※ご不安な場合には、当院にご連絡ください。
結論から申し上げますと、保険適用のピルでも避妊効果はあります。避妊効果も、自費のピルと同程度あると言われています。
ただ、保険適用のピルは、避妊目的では処方できません。あくまで、月経困難症の治療目的で処方された保険適用のピルに、自費のピルと同じ程度の避妊効果が期待できるということです。