葉状腫瘍とは
楕円状のやわらかい腫瘍で、2~3か月単位で比較的速く大きくなります。乳腺組織を構成する上皮(乳管細胞)と間質細胞(線維芽細胞など)の主に後者が腫瘍化し増殖、病理組織所見により良性、境界、悪性に分類されます。標準的治療は外科的切除で周囲に正常乳腺をつけた安全な切除が推奨されていますが、局所再発した場合は悪性度が高くなることが知られていますので、極端に大きい場合は乳腺切除が必要な場合もあります。悪性の場合20%程度が転移を起こすため、術後経過観察が必要です。
葉状腫瘍の症状
乳房にしこりができ、外見・触ることでそれに気づける場合があります。
急速にしこりが大きくなるのが特徴で、数ヶ月で10cm程度まで大きくなるケースもあります。
通常、目立った症状はしこりだけで、痛みや腫れなどはありません。
また良性であれば転移もありません。
ただし、悪性の場合は遠隔転移をきたし、また良性であっても一部で局所的に再発することがあり、再発時には悪性に転化する場合があるので注意が必要です。
葉状腫瘍の原因
乳腺の腺管上皮に発生する乳がんとは違い、葉状腫瘍は間質細胞が腫瘍化したものとなり、肉腫に分類されます。
葉状腫瘍がどうしてできるのか、何がリスクファクターとなるのかなどははっきりわかっておらず、遺伝するリスクがあるのかどうかも明らかにはなっていません。
「線維腺腫から腫瘍化する」という説もありますが、これもはっきりとわかっているわけではありません。
葉状腫瘍の検査と診断
葉状腫瘍が疑われる場合、マンモグラフィ検査と乳房超音波検査(エコー検査)を行い、乳がんと鑑別し、腫瘍細胞の分葉状構造の有無を確認します。
そのうえで針生検を実施して、採取した組織を顕微鏡で観察して診断に繋げます。
葉状腫瘍の治療方法
葉状腫瘍の治療は基本的に手術で切除します。再発率が高く、再発を繰り返すと悪性化するリスクがあるため、病変は完全切除が必要です。
そのため広範囲切除か、乳房切除が推奨されています。