子宮内避妊器具(ミレーナ)

ミレーナ(避妊リング・IUS)とは

ミレーナ(避妊リング・IUS)とはミレーナ(IUS:子宮内避妊システム)は、子宮内に装着することで避妊の効果を得る避妊具です。一般に、「避妊リング」とも呼ばれています。 レボノルゲストレルという黄体ホルモンを継続的に放出し、子宮内膜を薄い状態で維持することで、受精卵の着床を防ぎます。 また、同様のメカニズムによって月経困難症や過多月経の改善にも有効性が認められています。そして2014年には、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症等に伴う月経困難症と過多月経に対する治療として保険適用となっています。 これらの効果が最長で5年ほど継続します。低用量ピルを服用できない方でも、安心して使用することができます。

ミレーナの効果

月経困難症・過多月経の改善

もともとは避妊を目的として使用されていたミレーナですが、月経困難症、過多月経の改善にも有効です。
レボノルゲストレルの放出によって子宮内膜の増殖を防ぎ、子宮内膜を薄い状態で維持することで、痛み・炎症の原因となる物質の産生を抑制します。最長5年間という長期にわたって効果が持続するのは、大きなメリットです。
なお、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症等に伴う月経困難症と過多月経に対する治療としてミレーナを使用する場合には、保険が適用されます。

避妊効果

コンドームや低用量ピルによる避妊が一般的ですが、近年ではミレーナによって避妊をする方も増えています。
レボノルゲストレルの継続的な放出によって子宮内膜の増殖を防ぎ、子宮内膜を薄い状態で維持し、受精卵の着床を防ぎます。避妊の効果は、最長5年間続きます。
毎日の服用が必要なピルと比べると、避妊にかける手間・時間は圧倒的に少なくなります。また、副作用が心配でピルが服用できない方(血栓症のリスクが高い・喫煙している・肥満体型)でも安心して使用することができます。
ミレーナから放出されるレボノルゲストレルは子宮内だけで作用するものですので、低用量ピルよりも副作用が少なくなります。
※ミレーナには、性感染症の予防効果はありません。コンドームの併用をおすすめします。

このような方におすすめです

このような方におすすめです

  • 低用量ピルによる避妊が煩わしい
  • 低用量ピルを飲み忘れることがある
  • 副作用の問題などにより低用量ピルを服用できない
  • 月経痛がひどい
  • 月経量が多い
  • 月経前に体調不良が起こる
  • 長期にわたる避妊効果を得たい

ミレーナのメリット・デメリット

メリット

月経困難症や過多月経に効果的

月経困難症や過多月経の改善に有効です。
子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症等に伴う月経困難症と過多月経の治療については、保険が適用されます。

避妊効果が高い

妊娠を希望せず避妊をしたにもかかわらず1年以内に妊娠する確率は、コンドームで2%、低用量ピルで0.3%ですが、ミレーナの場合は0.2%に留まります。

手間がかからず、避妊の失敗が起きにくい

低用量ピルなら飲み忘れ、コンドームなら破損・脱落という「失敗」が起こり得ますが、ミレーナではこのような形の失敗はありません。
毎日、また性交時の手間が少ないのもメリットです。

デメリット

5年以内の交換が必要

効果は最長5年間持続しますが、この5年に近づくに従って、避妊効果が低くなる可能性があります。
引き続き妊娠を希望しない場合は、5年が経過するより前にミレーナを交換する必要があります。

副作用の可能性がある

ミレーナにも、副作用が起こる可能性があります。
ただ、レボノルゲストレルの作用は子宮内に留まるため、低用量ピルより副作用は少ないと言われています。

適応しない方がいる

以下に該当する方は、ミレーナの適応外となります。

  • レボノルゲストレルに対する過敏症がある方
  • 月経以外の不正出血がある方
  • 子宮の形状・位置に異常がある方
  • 過去、ミレーナ挿入時に強い痛みを感じた方、脈が遅くなった方
  • 性器がんのある方、性ホルモン依存性腫瘍の方、あるいはその疑いがあると指摘された方
  • 子宮内膜炎、卵管炎のある方
  • 子宮頸管炎、腟炎のある方
  • 重い肝障害、肝腫瘍がある方
  • 骨盤内炎症性疾患(PID)の方、繰り返し再発している方
  • 子宮外妊娠(異所性妊娠)をした方
  • 子宮の入口(頸管)の拡張時に強い痛みがあった方、脈が遅くなった方
  • 過去3ヵ月以内に性感染症にかかった方(時期をずらして使用することは可能です)
  • 過去3ヵ月以内に、分娩後子宮内膜炎または感染性流産のあった方
  • 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方

ミレーナの副作用

ミレーナによる副作用には、以下のようなものが挙げられます。通常、腹痛や出血といった症状は、時間の経過とともに落ち着いていきます。

  • 月経周期、月経期間の変動
  • 月経以外の出血
  • おりものの増加
  • 腹痛
  • 卵巣嚢胞

また、ごく稀に起こる重篤な副作用として、以下のようなものが報告されています。

  • 骨盤内炎症性疾患(PID)
  • 穿孔
  • 異所性妊娠(子宮外妊娠)
  • 卵巣嚢胞破裂

おりものが増える?

おりものが増える?ミレーナ挿入後数日間は、おりものが増える、下腹部・腰に痛みが生じる可能性があります。

ミレーナを装着すると太る?

「ミレーナを使用することで太る」といった噂があるようですが、ミレーナの使用を原因として太る・体重が増えるという医学的根拠はありません。ご安心ください。

よくあるご質問

ミレーナはデリケートゾーンの臭い対策になりますか?

ミレーナの使用によって、月経の臭いなどが改善する・予防できるといった医学的な根拠はございません。 ただ、月経量が少なくなるため、そのことで臭いにくくなるといったことはあるかもしれません。

ミレーナは更年期障害の症状にも有効ですか?

更年期障害は、女性ホルモンの分泌の低下が主な原因として起こります。通常は、卵胞ホルモンであるエストロゲンを補充する「ホルモン補充療法」によって治療します。この際、黄体ホルモンを併用することで、副作用の軽減が期待できます。 ミレーナを使用している場合には、黄体ホルモンを併用できていることとなり、更年期障害の治療の負担軽減が可能であると考えられます。ただし、ミレーナの使用のみで更年期障害が改善するものではありません。

ミレーナを装着する際に痛みはありますか?

経腟分娩を一度でも経験している方の場合、ほとんど痛みはありません。一方で、経腟分娩を経験していない方は、痛みを感じる場合があります。 当院では、痛みに配慮したミレーナの挿入を行っております。まずは一度、ご相談ください。

装着後、ミレーナがずれることはありますか?原因は?

ミレーナ挿入後1年間での脱出率(外れてしまう確率)は約1.5%です。 ミレーナには、抜去用の糸が付属しておりますが、これを触らないようにご注意ください。なお、この糸が性交時を含めて日常生活で邪魔になるということはまずありません。 定期検診では、ミレーナの装着の状態についてもきちんとチェックをしていきます。