- 30代後半~40代の不妊治療
- 30代後半~40代の不妊治療の成功率
- 40代に入ると妊娠しにくい理由
- 40代でできる不妊治療の回数
- 不妊治療は何歳で諦めるべき?
- 30代後半~40代女性が受けるべき
不妊検査 - 30代後半~40代男性が受けるべき
不妊検査 - 40代でも妊娠できる人の特徴
- 30代後半~40代の妊娠率を上げる方法
30代後半~40代の不妊治療
35歳以上、40代で不妊治療を開始する女性、あるいは不妊治療を継続している女性は決して少なくありません。
一般に卵子の質は30歳から徐々に、35歳から顕著に低下すると言われていますが、妊娠ができないわけではありません。
当院では、若い方だけでなく、30代後半・40代の方の不妊治療にも力を入れております。ぜひご希望を持って、ご相談ください。
30代後半~40代の不妊治療の
成功率
日本生殖医学会のデータによると、20~24歳の女性の妊孕性(妊娠する力)を100とした場合、35~39歳で約70、40~44歳で約35、45~49歳で10以下と加齢によって妊孕性は低下していきます。
また39歳で不妊治療を開始した場合の出産率が11.5%であるのに対し、40歳では9.3%、44歳では1.8%となっています。
30代の後半や40代で不妊治療を行った場合、その成功率は低くなるという現状があることも確かです。
40代に入ると妊娠しにくい理由
女性ホルモンが減少する
から
子宮内膜を厚くする「エストロゲン」、子宮内膜や妊娠の維持を担う「プロゲステロン」といった女性ホルモンの分泌は、20代~30代前半でピークを迎え、その後は徐々に、特に45歳くらいで急激に減少します。
これにより、受精卵が着床しにくくなる、妊娠を維持しにくくなるということが起こり、妊娠や出産が困難となります。
卵巣予備能が低下するから
卵巣予備能とは、卵巣に残っている卵子の数のことです。そして卵子のもとである「卵母細胞」は、加齢とともに徐々に、37歳くらいから急激に減少します。
妊娠のチャンスがあとどれくらい残っているかは、血液中の「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」の値を調べることで推定できます。
卵子の質が低下するから
一般に、卵子の質は30歳から徐々に、35歳以降で顕著に低下すると言われています。これに伴い、妊娠も成立しにくくなると考えられます。
また卵子の質が低下すると、染色体異常のリスクも高くなり、胚の発育・出生後の発達に影響が出ることがあります。
母体の病気が影響するから
私たちは年齢を重ねるほど、何らかの病気になるリスクが高くなります。特に糖尿病、高血圧、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん、乳がんなどは、場合によっては不妊の原因となります。
40代でできる不妊治療の回数
現在、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精などに保険が適用されます。
タイミング法・人工授精
年齢制限、回数制限ともありません。
体外受精
年齢に応じて、保険診療として受けられる回数に制限があります。男性の年齢制限はありません。
- 女性が40歳未満の場合…6回まで
- 女性が40歳以上~43歳未満の場合…3回まで
※治療計画を作成した時点で女性が43歳未満である必要があります。
※その他、法的な婚姻関係を結んでいるまたは事実婚関係であること等の条件があります。
不妊治療は何歳で諦めるべき?
不妊治療は、「〇歳になったら諦めなければならない」というものではありません。しかし妊孕性の低下、肉体的・精神的な負担、経済的な負担を考えると、「可能性がある限りいつまでも続けるべき」とも言えません。
患者様によって異なりますが、40代の半ばくらいで治療を中止されるケースが割合として多くなります。
もちろん、価値観は人それぞれです。35歳やそれより若くして諦めたからといって、「もったいない」わけでもないのです。
患者様、そしてパートナーの方の考え方をもとに、「幸せになるために不妊治療を始める」、そして時には「幸せになるために不妊治療を諦める」ということが大切になります。いつまで不妊治療を継続するべきかお悩みの方は、当院の医師、または臨床心理士にご相談ください。当院で不妊治療を受けている患者様については、臨床心理士による心理カウンセリングを無料で受けられます。
30代後半~40代女性が
受けるべき不妊検査
不妊治療で行われる検査はさまざまですが、ここでは特に30代後半~40代の女性に受けていただきたい検査についてご紹介します。
経腟超音波検査
超音波で子宮、卵巣の状態を調べる検査です。
子宮内膜症、卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜ポリープといった不妊の原因となり得る疾患の発見が可能です。
卵巣予備能検査
採血し、血中の「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」の値を調べる検査です。
現在残っている卵子の数を推定することができます。またAMHの高い場合には、多嚢胞性卵巣症候群を疑います。
下垂体ホルモン検査
採血し、血中のホルモンの量を調べる検査です。
ホルモンの状態、卵巣の機能低下が分かります。特に卵胞刺激ホルモン(FSH)は、排卵に関連する卵胞の発育において重要な役割を果たします。
30代後半~40代男性が
受けるべき不妊検査
不妊の原因の約半数は、男性側にあると言われています。女性だけでなく、男性も一緒に検査を受けましょう。
ここでは特に30代後半~40代の男性におすすめしたい検査についてご紹介します。
精液検査
精子数、運動率、形態、精液量、pH、白血球数などを調べる検査です。
適切な治療(タイミング法・人工授精、体外受精・顕微授精)の選択に役立ちます。
精子酸化ストレス測定などの精密検査を行うこともできます。
超音波検査
超音波を当て、精巣・陰嚢・精索の状態を観察する検査です。
男性不妊の代表的な原因疾患である精索静脈瘤の診断が可能です。また精巣がんの発見につながることもあります。
内分泌検査
血液中の性腺刺激ホルモン、男性ホルモンの状態を調べる検査です。
性腺刺激ホルモンは主に、生殖器官や精巣を刺激し、精巣の生成を促進する役割を担っています。
40代でも妊娠できる人の特徴
40代でも妊娠しやすい人は、健康的な体重の維持や適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理ができており、基礎疾患がないことが特徴です。また、定期的な婦人科検診と健康的なライフスタイルも重要です。これらの要素を維持することで、40代でも妊娠の可能性を高めることができます。
正常なBMI
健康的な体重を維持している人は、ホルモンバランスが安定し、排卵が正常である可能性が高いです。過度な肥満や痩せすぎは妊娠の妨げになることがあります。
適度な運動習慣
適度な運動をしている人は、血液循環が良く、ホルモンバランスが安定しやすいです。運動は体重管理やストレス軽減にも役立ちます。
バランスの取れた食事
ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富な食事を摂取している人は、卵子の質を改善しやすいです。特に、葉酸、ビタミンD、オメガ-3脂肪酸が重要です。
ストレス軽減の取り組み
ストレスを適切に管理できている人は、ホルモンバランスが安定しやすく、妊娠の可能性が高まります。リラクゼーションや趣味、カウンセリングなどが役立ちます。
基礎疾患がない
高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などの基礎疾患が適切に管理されていると、妊娠の可能性が高まります。定期的な健康チェックと治療が重要です。
婦人科の健康管理
定期的な婦人科検診を受け、卵巣機能や子宮の健康を確認している人は、早期に問題を発見し、対処することができます。
禁煙と適度な飲酒
喫煙をせず、適度な飲酒を心がけている人は、卵子や精子の質が良好である可能性が高いです。
不妊治療への理解と対応
不妊治療に対する理解があり、適切な対応をしている人は、妊娠のチャンスを高めることができます。例えば、IVF(体外受精)や他の治療方法についての情報を持っていることが役立ちます。
30代後半~40代の妊娠率を
上げる方法
30代後半、40代であっても、妊娠は可能です。一方で若い年代と比べると、妊娠しにくいという事実もあります。
以下のような方法で、少しでも妊娠率を上げましょう。
生活習慣を改善する
生活習慣の乱れは、排卵障害、不育症、精子の運動低下、勃起不全などの原因となります。
バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠によって健康な身体を維持することは、妊娠率の向上に役立ちます。お酒の量を減らす・禁酒する、禁煙する、ストレスを解消する、適正体重を維持することなども大切です。
不妊治療の早めのステップアップ
一般に不妊治療は、タイミング法、人工授精、体外受精・顕微授精といった流れでステップアップしていきます。
ただ、体外受精・顕微授精は治療計画を作成する時点で女性が43歳未満でなければ、保険が適用されません。医師と相談しつつではありますが、早めにステップアップすることもご検討ください。
卵子凍結を視野に
入れておく
今ではなく将来的な妊娠を望んでいる場合、がん治療を受ける予定で抗がん剤・放射線の卵巣・卵子への影響が心配といった場合、パートナーがいない場合のみ、卵子凍結という方法があります。
誰もが不妊治療は早く終えたいものですが、不妊治療を始める段階で卵子凍結を視野に入れておくことが、将来的な妊娠成立の助けになります。
なお卵子凍結は一般的に、20代~30代前半での実施が推奨されます。年齢の上限は定められていませんが、特に40代での卵子凍結は医師と相談し、慎重に判断しましょう。