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FT(卵管鏡下卵管形成術)

卵管鏡下卵管形成術
(FT法)とは

卵管鏡下卵管形成術(FT法)とは卵管鏡下卵管形成術(FT法)とは、特殊なカテーテルを用いて、詰まっている卵管を開通させたり、狭くなっている卵管を広げたりすることで、卵管の通りを良くする内視鏡手術です。これにより、タイミング法や人工授精における妊娠率の向上が期待できます。
卵管鏡下卵管形成術によって、約70%の症例で改善が期待できます。一方で残りの約30%においては効果が期待できず、その場合は体外受精を検討します。所要時間は片側15分程度(両側で30分)です。
また、適応となるのは卵管近位部であり、遠位部については適応外となります。
当院では、内視鏡による日帰りでの卵管鏡下卵管形成術を行っています。

卵管鏡下卵管形成術(FT法)の適応

卵管鏡下卵管形成術の適応となるのは、卵管近位部における卵管の閉塞や狭窄です。

片側閉塞・狭窄

片側閉塞・狭窄卵管は、子宮の左右に1つずつ存在します。
左右どちらか片側の卵管が閉塞・狭窄している場合も、反対側の正常な卵管があるため妊娠の可能性はゼロではありません。しかしやはり、両側が正常である場合と比べると妊娠率は低く、卵管鏡下卵管形成術の適応となります。

両側閉塞・狭窄

左右両方の卵管が閉塞・狭窄している状態です。
この状態での自然妊娠の可能性は極めて低いため、卵管鏡下卵管形成術の適応となります。

卵管鏡下卵管形成術(FT法)のメリット・デメリット

メリット

自然妊娠が期待できる

卵管の閉塞・狭窄が改善できれば、タイミング法、人工授精などの一般治療による妊娠の可能性があります。

健康保険、高額療養費制度、任意保険が適用される

卵管鏡下卵管形成術は、健康保険が適用されます。また、高額療養費制度の限度額内で手術が受けられます。
任意保険が適用できる場合もありますので、お気軽にご相談ください。

卵管の状態に応じた
的確な治療

手術中には、卵管鏡を使って卵管内部を詳しく観察することができます。これにより、卵管の状態の的確な治療が可能です。また、生殖補助医療への切り替えの適切なタイミングも見極めやすくなります。

デメリット

麻酔による副作用が
生じることがある

静脈麻酔下で行う手術であり、その麻酔の副作用として一時的なふらつき等の副作用が生じることがあります。そのため、当日中は車やバイク・自転車の運転ができません。

手術による副作用が
生じることがある

強い狭窄・閉塞に対する手術の場合など、手術後に軽度の腹痛、発熱、少量の出血といった一時的な副作用が生じることがあります。

卵管の閉塞・狭窄であっても適応外となることがある

卵管の遠位部が閉塞・狭窄している場合、卵管采が完全に癒着している場合など、適応外になることがあります。

加齢によって妊娠率が
低くなる

卵管鏡下卵管形成術を行って妊娠率が高くなることが期待できますが、必ず妊娠できるわけではありません。また、年齢が高くなるにつれ妊娠率は低くなります。
40歳以上であっても、卵管鏡下卵管形成術後のタイミング法・人工授精などによる妊娠は可能ですが、できるだけ早くに実施することが推奨されます。

FTか体外受精どちらがいいか

卵管鏡下卵管形成術は、体外受精と比べると、お身体へのご負担が比較的少ない治療と言えます。できるだけ自然な形での妊娠を望まれる場合には、体外受精の前に卵管鏡下卵管形成術を検討されることをおすすめします。
一方で卵管以外に不妊の原因がある場合には、体外受精を行うことが多くなります。具体的には、ホルモンの異常、子宮内膜症、男性不妊などがあるケースです。

  FT 体外受精
卵管の状態 卵管が閉塞している・狭くなっている場合に、通過障害の改善を目指して実施される。 卵管が完全に閉塞している・手術による改善が難しい場合に、卵管を介さず卵子と精子を体外で受精させる。卵管の状態は問われない。
痛みや身体への負担 やや少ない やや大きい
通院回数 少ない やや少ない
費用 保険適用 保険適用(回数・年齢制限あり)
妊娠率 約30% 40~60%

卵管鏡下卵管形成術の流れ

卵管鏡下卵管形成術は、静脈麻酔下で実施します。
当院では、経験豊富な医師が卵管鏡下卵管形成術を行います。

1カテーテルの挿入

特殊なカテーテルを子宮へと挿入し、卵管鏡で卵管の入口の状態を確認します。

2卵管に管を伸ばす

カテーテルの先からバルーンを出し、卵管内へと伸ばします。バルーンを加圧することで、閉塞・狭窄を改善します。

3卵管内を観察

閉塞・狭窄を改善した後は、卵管鏡で卵管内を観察し、終了です。

卵管鏡下卵管形成術の
リスク・副作用

  • 麻酔によって一時的なふらつきが生じることがあります。当日中の車・バイク・自転車の運転はできません。
  • 手術によって軽度の腹痛、発熱、少量の出血といった一時的な副作用が生じることがあります。
  • 麻酔薬、鎮痛剤、抗生物質の投与によってアレルギーが生じることがあります。
  • 稀な副作用として、卵管壁の穿孔、感染などが報告されています。

卵管鏡下卵管形成術の
効果はいつまで

卵管の閉塞や狭窄を改善できた場合、その効果は約半年間、持続します。
術後3カ月で再度閉塞する割合は、約5%です。

卵管鏡下卵管形成術の費用

    保険点数
卵管鏡下卵管形成術(FT) 片側 46,410点
両側 46,410点×2

※ほどんどの場合は高額療養費となります。

高額療養費制度の「限度額認定証」事前申請について

卵管鏡下卵管形成術は、高額療養費制度の限度額内で受けられる手術です。
予め「限度額認定証」の交付を受けておき、医療機関の窓口で提示していただくことで、お支払いが自己負担限度額までに抑えられます。事前に健康保険組合などへと申請を行い、限度額認定証の交付を受けておくことをおすすめします。なお認定証は、医療機関ごとに必要になります(マイナンバーの場合は手続き不要)。