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不妊の原因

10組に1組は「不妊」

10組に1組は「不妊」妊娠を望む健康な男女が、1年以上避妊なしで性交をしても妊娠に至らないことを「不妊」と言います。
現在、10組に約1組がこの不妊にあたると言われています。不妊は決して、珍しいことではないのです。
「なかなか妊娠しないな」「不妊かも?」と感じた時には、時期を問わずお気軽に当院にご相談ください。
このページでは、主に不妊になりやすい人の傾向、男女不妊の原因について言及して参ります。

不妊になりやすい人

不妊になりやすい人の特徴は、さまざまな要因によって異なります。以下に、不妊のリスクが高いとされる主な特徴を挙げます。

年齢

女性の年齢

女性の年齢が上がると卵子の質と数が減少します。特に35歳を過ぎると妊娠の確率が低下し、40歳を超えるとさらに難しくなります。

男性の年齢

男性の年齢が上がると精子の質が低下し、DNAの損傷が増えるため、不妊のリスクが高まります。

体重

肥満

肥満はホルモンバランスを崩し、排卵障害や男性の精子の質低下につながります。

痩せすぎ

体脂肪が少なすぎるとホルモンバランスが乱れ、女性の排卵や男性の精子生成が影響を受けます。

ライフスタイル

喫煙

喫煙は卵子と精子の質を低下させ、妊娠の可能性を減少させます。

過度の飲酒

過度のアルコール摂取はホルモンバランスを乱し、不妊のリスクを高めます。

ストレス

慢性的なストレスはホルモンの分泌に影響を与え、排卵や精子生成に悪影響を及ぼすことがあります。

健康状態

月経不順

月経が不規則な場合、排卵が不規則である可能性が高く、不妊のリスクが増します。

性感染症

クラミジアや淋病などの性感染症は卵管や精管に損傷を与え、不妊の原因となります。

慢性疾患

糖尿病や甲状腺疾患などの慢性疾患はホルモンバランスに影響を与え、不妊のリスクを高めます。

既往

過去の骨盤手術

子宮や卵巣、卵管に対する手術は癒着を引き起こし、不妊のリスクを高めることがあります。

抗がん治療

放射線治療や化学療法は卵巣や精巣にダメージを与え、不妊の原因となることがあります。

遺伝的要因

遺伝性疾患

家族に不妊の歴史がある場合や、特定の遺伝性疾患がある場合、不妊のリスクが高まります。

不妊になりやすい人の特徴は多岐にわたりますが、早期の検査と治療を受けることで、多くのケースで妊娠の可能性を高めることができます。生活習慣を見直し、適切な医療サポートを受けることで、不妊のリスクを軽減することが重要です。

不妊の原因ランキング

1. 排卵障害

女性における不妊の主な原因です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や黄体機能不全などが含まれます。排卵が不規則または全く起こらないため、受精の機会が減少します。

2. 精子の異常

男性における不妊の主な原因です。精子の数が少ない(乏精子症)、運動性が低い(精子無力症)、形態が異常である(奇形精子症)などが含まれます。

 

3. 卵管の障害

卵管が閉塞している場合や損傷している場合、卵子と精子が出会うことができません。性感染症や子宮内膜症、過去の骨盤手術が原因となることがあります。

4. 子宮の異常

子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形などが含まれます。これらの異常があると、受精卵が着床しにくくなることがあります。

5. 年齢

女性の年齢が上がるとともに卵子の質が低下し、妊娠の可能性が減少します。35歳を過ぎると、特に影響が顕著になります。

6. 子宮内膜症

子宮内膜が子宮外に存在する状態で、卵巣や卵管、骨盤内に炎症を引き起こすことがあります。これにより、卵子と精子が出会うことが難しくなります。

 

7. ホルモン異常

甲状腺機能低下症や高プロラクチン血症など、ホルモンのバランスが乱れることが不妊の原因となります。

8. 免疫系の問題

女性の体が精子や受精卵を攻撃する抗体を作る場合、妊娠が妨げられることがあります。

9. 生活習慣

喫煙、過度の飲酒、肥満、過度の運動、ストレスなどが不妊に影響を与えることがあります。

10. 遺伝的要因

遺伝的な異常や染色体の異常が不妊の原因となることがあります。

これらの原因は単独で存在することもあれば、複数が組み合わさって不妊を引き起こすこともあります。不妊治療においては、原因を特定するために詳細な検査が必要です。それぞれの原因に適した治療法を見つけることが、妊娠への道を開く鍵となります。

女性の不妊原因と病気

排卵因子

女性側の不妊において、排卵にかかわる原因(病気・習慣)には以下のようなものがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

卵胞は十分に成長せず、卵巣に留まってしまう病気です。排卵ができず、不妊の原因となります。代表的な排卵障害であり、女性の20~30人に1人の割合で見られます。

黄体化未破裂卵胞

卵巣内で育った卵胞が破裂(排卵)できずに卵巣内で黄体化してしまう状態です。排卵障害の一型で、卵子が放出されない無排卵症の一種ともいえます。

ストレス

強いストレスによってホルモンバランスが乱れ、排卵のリズムが不規則になると、排卵日を予測することが難しくなります。また、ストレスによって卵管痙攣が起こり、受精卵を子宮に送れないということもあります。

過度のダイエット

食事を抜く・極端に減らす、日々過酷な運動をするといった過度のダイエットは、エストロゲンの分泌を低下させます。エストロゲンが減少すると、生理不順、そして不妊の原因となることがあります。

卵管因子

女性側の不妊において、卵管にかかわる原因(病気)には以下のようなものがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症によって卵管周囲で癒着が起こり、卵管が詰まってしまうことがあります。強い月経痛がある場合など、注意が必要です。

子宮筋腫

子宮筋腫の部位によっては、卵管が圧迫され、受精卵の移動を妨げてしまうことがあります。

クラミジア感染症

クラミジア感染症によって卵管炎、卵管の閉塞が引き起こされ、不妊の原因となることがあります。

卵管留水腫

卵管内に細菌などが感染して炎症を起こし、卵管の先の卵管采が閉塞することで発症します。卵管采が塞がると、排卵された卵子を卵管内に取り込めなくなり、不妊症の原因となります。

卵管閉塞

子宮の左右両側にある卵管が詰まったり狭くなったりする状態です。卵管が閉塞すると精子、卵子、胚の移動が難しくなり、自然な妊娠の妨げとなります。

頸管因子

内子宮口と外子宮口のあいだに存在する「頸管」にかかわる原因(病気)には、以下のようなものがあります。

頸管粘液の異常

頸管粘液が適切に生成されない、または精子が通過できない状態です。ホルモンバランスの乱れや感染症が原因となることがあります。

頸管狭窄

頸管が狭くなり、精子が子宮内に入るのが困難になります。手術や感染症が原因です。

子宮因子

女性側の不妊において、子宮にかかわる原因(病気)には、以下のようなものがあります。

子宮筋腫

子宮筋腫の状態によっては、着床の妨げとなることがあります。

慢性子宮内膜炎

子宮内膜に持続的な軽度の炎症がある疾患で、着床不全や妊娠初期の流産の原因と考えられています。流産の経験がある女性の約40~60%にみられます。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜に形成されたポリープは、物理的に着床を妨げることがあります。

子宮奇形

子宮の先天的な形態異常です。着床を妨げるため、不妊の原因となります。

免疫因子

女性側の不妊において、免疫にかかわる原因(病気)には、以下のようなものがあります。

抗精子抗体

女性の体が精子に対する抗体を作り、精子を攻撃する状態です。

自己免疫疾患

自身の免疫系が自分の組織を攻撃する状態で、抗リン脂質抗体症候群などが含まれます。これにより、妊娠の維持が困難になることがあります。

男性の不妊原因と病気

精索静脈瘤

精巣の静脈が拡張することで精巣温度が高くなり、精子の生成・質に悪影響を及ぼす病気です。男性不妊の代表的な疾患です。

造精機能障害

精子の数が少ない・まったくない、または精子の運動性が低いといった障害です。精索静脈瘤が背景にあることが少なくありません。一方で、特に原因なく造精機能障害になることもあります。

性機能障害

勃起不全(ED)、腟内射精障害などがあります。ストレス、糖尿病などの病気、加齢などが原因として挙げられます。

その他、ホルモンの異常、性感染症(クラミジア感染症・淋菌感染症)、抗精子抗体、遺伝的な染色体異常、抗がん剤などの薬物、生活習慣の乱れなども、男性側の不妊の原因となります。

男女共通の不妊原因

加齢

女性の場合、自然な妊娠に至る確率は30歳から徐々に、35歳から顕著に低下します。
また男性も、女性と比べると緩やかですが、35歳くらいから精子の質の低下が進みます。

原因不明の不妊

原因不明の不妊現在ある不妊の検査では特定できない原因というものも存在します。
原因がないわけではなく、あくまで不明ということですので、さまざまな状況から原因を推測し、対策や治療を講じることが大切になります。

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妊娠までの過程で何らかの障害が存在する

妊娠までの過程で起こる障害が特定できない場合も、人工授精や体外受精によって、妊娠を目指すことが可能です。

加齢、卵子・精子の質の
低下

卵子・精子の質の低下の原因は加齢にあると示唆されていますが、詳細なメカニズムについては未だ不明のままです。また、ある不妊の原因が加齢および卵子・精子の質の低下にあるということは、厳密には診断できません。

心理的な影響

不安、焦り、プレッシャーなどがストレスとなり、ホルモンバランスが乱れると、女性・男性の妊孕性(妊娠する能力・妊娠させる能力)が低下し、不妊の原因となることがあります。
ただ、あるカップルにおいてこのような心理的な影響が本当に妊娠できない原因になっているのか、どれくらい妊孕性を下げるのかといったことについては、はっきりしたことが分かりません。

不妊の原因になる食べ物

特定の食べ物が直接的に不妊の原因となることは少ないですが、食事の内容や習慣が不妊に影響を与えることがあります。以下に、不妊のリスクを高める可能性のある食べ物や食生活について説明します。

糖分が多い食品

高糖分の食品や飲料(ソーダ、キャンディ、ケーキなど)は血糖値を急激に上昇させ、インスリン抵抗性を引き起こす可能性があります。これがホルモンバランスを乱し、特に女性の排卵に悪影響を及ぼすことがあります。

トランス脂肪酸を含む食品

マーガリン、ショートニング、フライドフード、スナック菓子などに含まれる加工食品のトランス脂肪酸は、体内の炎症を引き起こし、ホルモンバランスを乱す可能性があります。

 

高脂肪の乳製品

一部の研究では、高脂肪の乳製品を摂取することが不妊のリスクを高める可能性が示唆されています。特に排卵障害に関連することがあります。

過剰なカフェイン摂取

コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどの過剰なカフェイン摂取(1日300mg以上)は、特に女性の不妊リスクを高める可能性があります。カフェインの摂取は適度に保つことが推奨されます。

アルコール

過度のアルコール摂取はホルモンバランスに悪影響を与え、女性の排卵障害や男性の精子質の低下に関連することがあります。

加工肉

ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉には保存料や添加物が多く含まれており、これが体内のホルモンバランスに悪影響を及ぼす可能性があります。