- 人工授精とは
- 事前のご予約が必要です
- 人工授精の対象となる方
- 人工授精のメリット・デメリット
- 人工授精、体外受精、顕微授精の違い
- 人工授精の流れ(治療サイクルの目安:
約3~6ヶ月) - 人工授精のリスク・副作用
- 人工授精の費用
人工授精とは
「人工授精」とは、問診や検査などから予測した排卵日に、その当日に採取した精液を洗浄・濃縮し、カテーテルで子宮内へと注入することで妊娠を目指す不妊治療です。名称には「人工」とありますが、受精と着床へ至る過程は自然妊娠と変わりません。また、処置に痛みはありません。

事前のご予約が必要です
人工授精の予約は、外来の際にスタッフが対応いたします。
月〜土曜日の9:00〜11:30の枠からご予約ください。
人工授精の対象となる方

- 一定期間タイミング法を試みたが妊娠に至らなかった方
- 子宮頚管粘液の分泌が不十分な方、粘液の状態が良くない方(ヒューナーテストの結果が良くなかった方)
- 精子の数が少ない、動きが良くないといった軽度の男性不妊の方
※一般的に不妊治療はタイミング法から開始しますが、問診・検査結果、治療期間などを考慮し、人工授精から開始することがあります。
※排卵誘発剤の使用により複数個の排卵を促し、妊娠率の向上を図ることがあります。通水検査などで卵管の通りをよくした上で人工授精を行うとより効果的です。
※妊娠率は、1周期あたり約10%です(生殖医療の必修知識 日本生殖学会より)。乏精子症の方、ヒューナーテストの結果が良くなかった方、性交障害による不妊の方などは、より高い効果が期待できます。
人工授精の
メリット・デメリット
メリット
簡便さと安全性
人工授精は、保険が適用され、比較的簡単で安全な不妊治療法です。体外受精(IVF)に比べて手術や高度な技術を必要としません。治療プロセスが短く、体への負担が少ないため、患者にとって心理的および身体的ストレスが少なくて済みます。
コストの低さ
人工授精は他の高度な不妊治療法に比べて費用が低く抑えられます。経済的な負担が少ないため、複数回の治療を試みやすいです。
自然な妊娠に近い方法
人工授精は精子を直接子宮内に注入するため、受精は自然に卵管内で行われます。自然妊娠に近いプロセスであるため、患者にとって心理的な負担が少ないです。
適応範囲の広さ
軽度の男性不妊(精子の運動性が低い場合)や、原因不明の不妊、子宮頸管粘液に問題がある場合など、幅広い不妊のケースに適用できます。多くの不妊原因に対応できるため、第一選択として試みることが多いです。
簡単な準備と手続き
人工授精の手技自体が簡単で、外来で行えます。患者の生活に大きな影響を与えず、通院回数も少なくて済みます。
デメリット
成功率の低さ
人工授精の成功率は体外受精(IVF)に比べて低く、通常10%程度です。複数回の試みが必要な場合があり、精神的および経済的な負担が増える可能性があります。
適応限界
女性の年齢や卵巣機能、重度の男性不妊など、特定の条件では効果が期待できない場合があります。これらのケースでは、より高度な不妊治療法が必要となります。
多胎妊娠のリスク
排卵誘発剤を併用する場合、複数の卵子が排卵され、多胎妊娠のリスクが高まります。多胎妊娠は母体および胎児に対するリスクが増えるため、慎重な管理が必要です。
技術的な制約
精子が卵管を通って卵子に到達するプロセスに依存しているため、卵管が閉塞している場合などには効果がありません。物理的な障害がある場合には、人工授精は選択肢になりません。
時間と労力の必要性
一定の周期ごとに治療を繰り返す必要があり、毎月のスケジュール調整が必要です。継続的な通院と治療の繰り返しにより、患者の生活に影響を与えることがあります。
人工授精、体外受精、
顕微授精の違い
人工授精 | 体外受精 | 顕微授精 | |
方法 |
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適応 |
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成功率 | 低い | 高い(若年層) | 高い |
人工授精の流れ
(治療サイクルの目安:
約3~6ヶ月)
問診や検査などで排卵時期を予測し、人工授精を実施する日を決めます。 排卵日の直前~直後が、もっとも妊娠しやすい時期です。当日に採取した精液を調整してから、専用のカテーテルで子宮腔内へと注入します。
1排卵日の予測
排卵日を卵胞サイズから予測します。
2精液の採取
人工授精の当日、ご自宅で専用容器に精液を採取し、ご持参いただきます。
※精液採精の2~3日前から、できる限り禁欲をしてください。
洗浄濃縮人工授精
精液には、子宮の収縮を促進するプロスタグランティン、死滅精子、雑菌が含まれています。これらは人工授精後の女性の腹痛・発熱の原因となるため、洗浄・濃縮によって取り除きます。こうして、人工授精に適した精子を抽出します。
3精子の洗浄・濃縮
採取した精液から元気な精子を抽出し、調整します。
4子宮内に精子を注入
調整した精子を、専用のカテーテルで子宮内へと注入します。
5黄体ホルモンの補充
注射薬または内服薬を用いて、排卵後の黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促します。これにより、子宮内膜が厚くなり、着床しやすくなります。
ご不安・ご不明の点がございましたら、なんでも医師にお尋ねください。
人工授精のリスク・副作用
人工授精には、以下のようなリスク・副作用があります。当院では、リスクや副作用についてもよくご理解していただいた上で、検査・治療へと進みます。
少量の出血
精子を子宮内へと注入するためのカテーテルを挿入する際、少量の出血が起こることがあります。
感染
精液を調整する過程で洗浄が行われますが、完全な無菌状態になるわけではありません。そのため、精子の注入によって感染症を起こす可能性があります。
多胎妊娠
排卵誘発剤の使用により、多胎妊娠がおこる場合があります。
腹膜炎
卵管は、腹腔と通じています。非常にまれに、子宮や卵管に雑菌が入り、腹腔へと移動した場合には、腹膜炎を起こすことがあります。特に、子宮内膜症がある場合、クラミジア感染症の既往がある場合には、そのリスクが上昇します。
人工授精の費用
洗浄濃縮人工授精 | 1,820点 | 5,460円 |
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※3割負担の場合の料金を表示しています。適用対象外の方は10割負担(自費診療)になります。