心血管奇形の発生頻度は他の奇形と比べて特に多く、生まれてくる赤ちゃんの約100人に1人の割合で合併するといわれています。
多くの先天性心疾患は軽症ですが、重症な心疾患の中には出生後の治療が遅れると状態が悪化し、死亡するものもあります。
当外来は出生後早期に治療が必要となる重症心疾患の胎児診断を目的に開設しました。
小児循環器医が心臓にターゲットを絞って、通常の妊婦健診よりも時間をかけて検査を行います。
胎児心エコー検査とは?
胎児心エコー検査とは、心疾患に関する専門知識に基づき、お腹の赤ちゃんの心臓を超音波で観察する検査です。
100人に1人の赤ちゃんが、生まれつきの心臓の病気(先天性心疾患)を持って生まれます。赤ちゃんの心臓の病気は、決して珍しいものではありません。多くの心疾患は軽症ですが、1000人に3~4人の赤ちゃんの心疾患は、重症であり、出生直後から集中治療が必要になる場合があります。重症の心疾患の中には、診断や治療が遅れることにより、赤ちゃんの状態が悪化したり、死亡することもあります。悪い状態での緊急手術は、救命率を下げることになります。
胎児心エコー検査は、重症な心疾患を胎児期に見つけ、出生後に、適切な治療へスムーズに移行できるようにするために欠かせない検査です。
胎児心エコー検査でわかること
胎児心エコー検査では、胎児の小さな心臓を母体を介して観察するので、すべての心疾患を見つけることはできませんが、重症な心疾患は見つけやすいです。
心臓の構造は複雑なので、妊婦健診でのエコー検査より、時間をかけて、詳しく見る必要があります。
心臓の胎児診断を行うメリット
心疾患を胎児期に発見することで、出生後の治療・対応の計画を立てることができます。出生後に速やかに適切な治療を実施することが可能になります。また、お母さん、お父さん、ご家族も、治療やご家庭での対応について、予め心構えをしておくことができます。
赤ちゃんにとっても。また、ご家族にとっても、胎児心エコー検査は非常に重要な検査であると言えます。
重症な先天性心疾患とは
先天性心疾患は100人に1人の割合で認められ、決して珍しいものではありません。
その中で、重症な先天性心疾患とは、完全大血管転位(大動脈が右室から、肺動脈が左室から入れ替わって起始している疾患)や総肺静脈還流異常(肺静脈が左房以外の右房や大静脈などに還流している疾患)など、出生後から酸素濃度が非常に低く、適切な治療をしないと生存できない疾患があります。
また、肺動脈や大動脈のどちらかが非常に細かったり、閉鎖していたりするため、動脈管(胎児期のみ肺動脈と大動脈をつないでいる血管)がないと生存できない疾患があります。
動脈管が生後も必要な疾患では、動脈管が閉鎖すると、肺動脈に行く血液が十分でない(肺動脈閉鎖など)と低酸素になり、大動脈に行く血液が十分でない(左心低形成症候群など)とショック状態になってしまいます。生存するためには、動脈管が閉鎖する前に、動脈管を開存させる薬を点滴で開始する必要があります。
検査方法
検査の方法
お腹にゼリーを塗り、その上から超音波を当てて、子宮の中の胎児の心臓を観察します。レントゲンと異なり、放射線は一切使用しませんので、安心して受けられる検査です。痛み、健康への影響、検査後の生活・食事の制限は一切なく、優しい検査と言えます。
検査にかかる時間
検査にかかる時間は、30分程度です。
母体・胎児の状態によっては1時間程度かかることがあります。
当外来は【予約制】です
スクリーニング検査:月・火・水・金曜日の午前
妊娠25-28週で御希望の方はどなたでも受けていただけます。
検査結果について
当日検査終了後に結果をお話しします。
胎児の異常が疑われる場合には、後日精査外来を受けていただきます。
検査にかかる費用
メニュー | 料金 |
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スクリーニング検査 | 6,000円(2025年1月 改定) |