子宮頸がんワクチン

子宮頸がん(HPV)ワクチンとは

子宮頸がん(HPV)ワクチンとは子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を主な原因として、子宮の入口に発生するがんです。
ヒトパピローマウイルスの感染自体は、珍しいことではありません。一度でも性交を経験した人であれば感染の可能性があり、女性の約8割が生涯に一度は感染しています。感染後、90%のケースで免疫によってウイルスが排除されますが、残りの10%のケースで感染が持続します。さらにその内の一部が前がん病変となり、その後子宮頸がんとして発症します。日本では20-40代の女性を中心に毎年約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、毎年約3000人が亡くなっています。治療のために子宮摘出や抗がん剤治療が必要になり、子どもを産むことができなくなる方も少なくありません。
子宮頸がんワクチンは、このヒトパピローマウイルスに対するワクチンであり、17歳未満でHPVワクチンを接種すると子宮頸がんの88%を防ぐことが報告されています。2013年より定期接種化されており、小学校6年生から高校1年生までの女性は無料で接種が受けられます。
初めての性交より以前に接種を受けることが最も予防効果が高いですが、26歳以下のすべての女性の接種が推奨されています。性交渉の経験がすでにあっても、HPVワクチンでカバーしている型全てに感染している可能性は低いため、ワクチン接種は有効です。
1997~2005年度生まれの女性は特例で2022年4月から3年間は無料で接種可能です。

子宮頸がんワクチンは受けるべき?

子宮頸がんワクチンの接種によって、子宮頸がんの原因の約70%を占める「2種類のヒトパピローマウイルス(16、18型)」に対する抗体が、94%の症例において作られます。
この有効性を鑑み、当院では基本的に、特別な理由がない限り、子宮頸がんワクチンを受けることをお勧めしています。
ご希望の場合には、ご本人様・保護者様にワクチンについてより詳しく説明させていただきますので、お気軽にご相談ください。

大人も大丈夫?子宮頸がんワクチンを受けられる年齢(対象者)

大人も大丈夫?子宮頸がんワクチンを受けられる年齢(対象者)9歳から受けられますが、定期接種(公費により無料)としての子宮頸がんワクチンは、小学校6年生から高校1年生までの女性が対象です。
17歳以上の女性の場合には、自費診療での接種となります。ただ、1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性は、2022年4月~2025年3月までの3年間、公費による無料接種が受けられます。
尖圭コンジローマや陰茎がんなど男性がかかる病気も予防できるため、男性への公費負担も行っている自治体もあります。

子宮頚がんワクチンの種類と接種回数

たくさんあるHPVの型のうち、何種類カバーしているかにより2価(サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード)のワクチンがあります。
数が多い方がカバーできるHPVが多く有効性は高くなるため、現在はガーダシルかシルガードをお勧めしていますが、公費接種は現時点ではガーダシルのみです。

ガーダシル(4価)、シルガード(9価)

計3回の接種が必要です。ガーダシルの公費接種対象者は無料、自費で約17000円×3回、シルガードは自費で約28000円×3回です。
標準的なスケジュールは、以下の通りです。

  • 1回目接種
  • 1回目から2ヵ月以上をあけて2回目接種
  • 1回目から6ヵ月以上をあけて3回目接種

子宮頸がんワクチンの副作用

軽度な副反応

  • 発熱
  • 接種部位の痛み、腫れ
  • 注射そのものの痛み、恐怖感からの失神

いずれも、他の注射でも起こり得るもので、子宮頸がんワクチン特有のものではありません。

重度な副反応

  • アナフィラキシー
  • ギランバレー症候群
  • 急性散在性脳髄膜炎(頭痛、意識低下、脳神経の疾患)

これらは、100万回~400万回に1回程度発生する副反応です。
一時期報道された、接種後の多様な症状(感覚の低下、脱力、倦怠感、睡眠障害、集中力や学習意欲の低下など)はその後の調査で、HPVワクチンとは因果関係は示されませんでした。

HPVワクチンの接種費用

12~16歳女子:無料

ヒトパピローマウイルスは、性交によって感染します。また、子宮頸がんワクチンは、感染予防の効果はありますが、すでに感染したウイルスを排除するといった効果はありません。そのため、初めての性交を経験する前に接種することが大切です。
16歳までは無料だからと後回しにするのではなく、お子さまとよく話し合い、早めに接種することをおすすめします。

公費の場合

公費で接種できるHPVワクチンは2種類(サーバリックス®、ガーダシル®)あります。
決められた間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。

自費の場合

ワクチンの種類 費用
ガーダシル 1回 約17,000円
シルガード 1回 約28,000円